【Tips】#2 魔法の呪文をつくろう(2)
これまでのあらすじ
1、言語には構造があるよ!
2、ラテン語は語尾を変えて意味をつけるよ!
2 語尾をつくる
太郎「それでは言語っぽいものをつくってみよう」
花子「わくわくするよ」
太郎「例えばこんな呪文をつくるとする」
炎の聖霊よ、敵を全て焼け!
花子「中二病こじらせてるの?」
太郎「うるせえ。例によって、これを分解してみよう」
炎の 聖霊よ 敵を 全て 焼け
花子「こうだね?」
太郎「そう。で、まず単語をつくる」
花子「うーん、炎、炎……」
太郎「最初は適当でいい。英単語をひねって使おう」
炎:fire → ファイヤ → faiyaa
聖霊:soul → ソウル → soru
敵:enemy → エネミー → enemii
全て:all → オール → or
焼け:burn → バーン → baan
花子「本当にまんまだね。でもfaiyaa、enemiiはちょっと英語っぽさが残ってる」
太郎「じゃあ」
fire → fi-re →フィ・レ → ヒ・レ → hire
enemy → e-ne-my → イ・ネ・マイ → inemai
花子「お、こうすると英語っぽさ薄れたかも」
太郎「こういう風に分解して読みを変えるのも有効だ。で、語尾をつくる」
花子「任せて!ちょっと辞書を眺めながら考えたいんだ」
単数:なし、複数:「-r」
~を:「-on」、~に:「-in」、~で:「-yn」、~の:「-u」、~よ!:「-at!」
花子「どうかな、足りる?」
太郎「十分だ。これをくっつけると」
炎・の 聖霊・よ 敵(複数)・を 全て(形容動詞) 焼け(命令)
hire-u soru-at! inemai-r-on oru baan!
花子「うんうん、良いね!」
太郎「命令文だから、動詞は英語みたいに倒置して」
花子「フランス語とかイタリア語だと、形容詞とかは後ろに来るよね」
太郎「うむ。それも取り入れて、入れ替えてみよう」
Soruat hireu, baan inemairon oru!
炎の聖霊よ、敵を全て焼け!
花子「うわあ!とってもそれっぽいよ!」
太郎「あとはこれをカタカナに直せば出来上がりだ」
ソルアト・ヒレウ、バーン・イネマイロン・オル!
炎の聖霊よ、敵を全て焼け!
花子「そうそうそうそう! こんなのが欲しかったの!」
太郎「Burn the all enemyとか書くよりはずっといいな」
花子「全然違うね!」
太郎「しかもちゃんとルールはある」
花子「ありがとう! これでいろいろ捗るよ!」
3 終わりに
すっごく適当ですが、こんな感じに考えれば簡単な魔法の呪文も書けると思います。何かにお役立てください。ではでは。
【Tips】#1 魔法の呪文をつくろう(1)
こんにちは、神嶌です。とあるアドベントカレンダーに登録できなかった悲しみを胸に、自分の持っているTipsを書いていきます。よろしくお願いします。
0 魔法の呪文をつくろう
花子「こんどファンタジー世界を作る事になったんだけどさ」
太郎「ほう」
花子「魔法の呪文作りたいんだ」
太郎「バルス!みたいな?」
花子「そうそう。でもさ、適当に考えたら辻褄が合わなくなりそうじゃん」
太郎「そりゃあな。現にラピュタのも結局解読されてないしな」
花子「でも言語学を真面目に勉強する気も起きないよ」
太郎「ちょっとは勉強しようぜ」
花子「良いの!僕は最低限の知識で作りたいんだよ!」
太郎「はいはい。じゃあちょっと設定考えてみようぜ」
1 言語ってなんだ
太郎「まず言語にはルールが必要だ」
花子「そうだね」
太郎「大体の言語には名詞・動詞・形容詞・助詞がある」
花子「英語も日本語もあるね」
太郎「うむ。具体的な語彙作りは後にして、まずこれを見て欲しい」
たろうは はなこに かんむりを さずける
花子「バカにしてるの?」
太郎「取り敢えず、これがどういう構造になっているのかを見ろ」
太郎「この文はこういう風に分解できる」
①たろう・は ②はなこ・に ③かんむり・を ④さずける
太郎「こうやって、名詞に『てにをは』がつくことで意味をなしているのだ」
花子「僕はティアラがいいな、女の子だから」
太郎「別にそれはどうでもいい」
花子「えっ……」
太郎「これは日本語の例だが、例えばファンタジー世界でよく使われるのが」
花子「はいはい。ラテン語、とか?」
太郎「ご名答。ラテン語は基本的に、これを語尾を変えることで大体実現している」
Paulus Mariae coronam dat. (パウルスはマリアに冠を与える)
①Paulus(パウルスは)②Maria-e(マリアに)
③corona-m(冠を) ④dat([彼は]与える)
太郎「でもラテン語は難しいから、今回はこれを極力単純化して使おう」
花子「そうだね、それがいい」
太郎「分かってるのか?」
花子「ちょっとだけ」
#2 魔法の呪文をつくろう(2) に続く